捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
「ふぅーっ」
なんだか長湯しちゃった。
のぼせそう~
「ハルー、出たよー?」
ハルはさっき入ったから…
「ハルー寝よーよー」
ベットが1つしかないから…
ま、しょうがないけどさ。
「ハールー「蘭」
後ろから低い声がした。
はっとして振りかえろうとすると、ハルが抱き着いてきた。
「きゃっ…ハル、コラッ!」
ジタバタしたけど全然離してくれない。
「蘭…一緒におねんね、しよっか?…」
クスクスと笑いながら低い声で囁いたハルの吐息が、耳にかかる。
「…ハル?」
ぱっとあたしを離したハルは、ベットにすわって両手を広げた。
「こっち…来いよ…」
"来いよ"?
なんか…ハルじゃないみたい…
低い声も、不適な笑みも、言葉遣いも、ハルとは別人だ。
でも
顔も、髪も、服も、青い首輪も、ハルなのに。
「蘭」
「へ?」
「俺の言うこと、聞けねーの?」
気付くとハルは、すぐ近くに来てて、あたしは思いっきり、ベットの上に倒された。
「ぅわっ!」
ハルが近寄ってくる。
ハルの背中から月の光が照らして、表情がよく見えない。
「俺の言うこと聞けないんだー?へー…そんならお仕置きかなぁ?」
ハルがあたしの上で愉しそうに言った。
「ハ…ル?」
あたしがやっと口を開いた時
「んんっ!」
ハルの唇があたしの唇を乱暴に塞いだ。
「……ね…ぇ…ハ…ぅん…」
ハルの舌が入ってくる。
嘘嘘嘘嘘!!
あたし、こんな、初めてだし!
それより…
この人、本当にハルなの!?