捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─

「んんーっ…待っ……てぇ…」


しばらくしてから、やっとハルが唇を離した。


でも、ハルの唇はあたしの唇から首筋に移動する。


「ひゃぁっ!ハル、や、やめて…」


無意識のうちに肩が跳ねた。


それでもハルは止めない。


「…ゃ…ん、ぁっ…」


変な声が出ちゃう。

思わず口を押さえた。


「ふふっ」

ハルが顔をあげる。


「何?蘭…お仕置きなのに、感じちゃったの?」



……やっぱりこの人、ハルじゃないみたい…


「たぶん蘭には、こっちの方が似合うよ?」


そう言うと、彼は自分の首輪を外して、あたしの首に付けた。


「これからは、絶対服従だね?」


細い指が、あたしの太ももを撫でた。


「…んぅっ」


目を瞑ったあたしの耳元で、クスクスと笑う声が聞こえる。



コワイ…

コワイコワイコワイコワイ…


ハル…怖いよ…


あたしのスウェットの襟に手をかけたのが分かった。


怖いよ…

止めて…ハル…


手が止まった。


「蘭?」


ハル?

昼間のハルの声がしたきがした。


「ハ…ル…?」


いつの間にか、あたしの目からは涙が大量に溢れていた。
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