捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
なのに…
「何なのよ…この人…」
目の前には、ずぶ濡れの男の子。
顔を伏せたまま体育座りでうずくまってる。
苦しそうに肩で息をしてる。
てか、それより…
ココ、あたしの部屋の前なんですけども…
訳が分からないあたしは、ぽけっと立ち尽くしていた。
その時
ゴロゴロ…ピカッ
「…っ!」
思わず耳をふさぐ。
ガラガラガラ…バーンッ!
「きゃっ…」
激しい雷が何処かに落ちた。
急いでカギを開けたあたしは、部屋に転がりこんだ。
「……」
ドアを思いっきりしめたものの…
キィ…
もう一回、外の男の子を覗いた。
肩で微かに息をする彼は、小刻みに震えていた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
思わず良心が痛んだ。
「…ぅー」
気付いたら、見知らぬ彼を、あたしの部屋に運んでいた。