捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─

ううー…


「本当の本当になんでもないの!あれは、その…違うの…」


必死で言い訳(?)をするあたしに、お母さんは尚も疑いの目。


「まぁいいわ……あら、ここは何の部屋なんだっけ?」


!!!お母さん!

バスルームはだめぇー!


「おっ、お母さん!」

お母さんを止めようと叫んだあたしの声と重なって、バスルームから何かが崩れる音がした。


ガラガラガラ!パリーン!!


パリーンって…


てかそれより…


「ハルぅー!」


気の抜けたあたしの声に、

音に驚いてドアノブに伸ばしかけた腕を止めていたお母さんが反応した。


「ハル…?」


お母さんの声を聞いて、あたしは思わず口を塞いだ。


(しまった…)


ついついハルの名前を口に出しちゃった…


「蘭、ハルって、何?」


ど…どうしよう…


えっと、えっとえっと…


「す…捨て犬!」


「捨て犬…?」


お母さんの顔が曇る。


「そう…そうなの!捨て犬、拾ったの!」

いける!

どうにかしのげ、あたし!


「捨て犬のハル!もうー、ハ、ハルったらイタズラ好きなんだからっ!」


それを聞いたお母さんの顔が、安堵の色に変わった。


「あら、そうなのね」


ふぅーっ

どうにかなった…


「なら、見せてよー、お母さんも見たいわぁ…ハル…くん?ちゃん?」


ちょちょちょちょーい!


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