捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
「アハハハハ!もーやだわぁ、ハル君ったら!」
「えへへへっ」
今、さっきの緊張からは想像もつかない状況。
お母さんの"もと居た場所に戻してきなさい発言"のあと…
『ちょっと待ってよ、お母さん!これには深ーいワケが…』
『どうゆうワケよ!なにこの子!……えーっ!何よこの首輪!まさか…』
『違う違う!!ハルもほらっ、説明してよぉ!』
『えっ…あの…えと…俺…ぼ…僕は…『あら?』
顔を上げたハルに、お母さんが近寄る。
『…………』
ペタペタとハルの顔を触る。
『え?あのぉ……』
ハルが明らかに怯えてる。
取って食われるって顔してる。
『ハル君っ』
『ひゃいっ!』
お母さんがハルの手を掴んだ。
ハルはテンパりまくってる。
訳が分かったあたしは、ため息と共に頭を押さえた。
『ハル君、これからも蘭をよろしくねっ!』
目を輝かせたお母さん。
『へ?』
間抜けヅラのハル。
そうだ…
お母さんは、重症の"面食い"野郎だった…
ほんと…なんてお恥ずかしい…