捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
そういう訳で、お母さんはハルをかなり気に入ったみたいで…
最初からハルの顔さえ見せれば良かったのね…
「この面食いおばば…」
ぼそっと呟いたあたしに、お母さんが振り向く。
「なんか言った?」
上機嫌なお母さん。
聞こえてるハズなのに怒りもしない。
まだ意味が分かってないハルが、不思議そうに首を傾げる。
でもまぁ、この顔なら誰だって面食いおばばになるわな。
ハルの綺麗な顔を見て、そう思った。
「それにしても…」
しばらくハルの顔を満足そうに眺めていたお母さんが、ハルの首輪を摘まみながら言った。
「蘭、これはどうゆうつもりなの?」
何かを言おうとしたハルが、口をつぐんであたしの方を見た。
ここまで来たら隠すつもりもない。
あたしはお母さんに、いままでのいきさつをすべて話した。