捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─

そういう訳で、お母さんはハルをかなり気に入ったみたいで…

最初からハルの顔さえ見せれば良かったのね…


「この面食いおばば…」

ぼそっと呟いたあたしに、お母さんが振り向く。


「なんか言った?」


上機嫌なお母さん。

聞こえてるハズなのに怒りもしない。


まだ意味が分かってないハルが、不思議そうに首を傾げる。


でもまぁ、この顔なら誰だって面食いおばばになるわな。


ハルの綺麗な顔を見て、そう思った。


「それにしても…」


しばらくハルの顔を満足そうに眺めていたお母さんが、ハルの首輪を摘まみながら言った。



「蘭、これはどうゆうつもりなの?」


何かを言おうとしたハルが、口をつぐんであたしの方を見た。


ここまで来たら隠すつもりもない。


あたしはお母さんに、いままでのいきさつをすべて話した。
< 25 / 31 >

この作品をシェア

pagetop