捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
「んー」
目を瞑り、反対を向きながら上着を脱がせた。
たぶん、一枚しか着てないみたい。
(もう冬なのに一枚…しかも雨でずぶ濡れだし…)
素早くバスタオルで水を拭き取り、去年間違えて買った、メンズのスウェットを着せた。
こんな所で役に立つとは…
ふぅっと深く息を吐いて、さっきみたいにそっぽを向いて、目を瞑った。
素早くズボンを脱がせて、今度はすぐにスウェットを着せた。
「ゴメンね…さすがに足はふけないよ…なんとなく…」
着替えを終えさせたあたしは、よいしょっと勢いをつけて男の子を布団に乗せて、また一息ついた。
「…スー…スー…」
さっきよりだいぶいいみたい。
そりゃ、外と違って部屋は温かいしね。