捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
***
夜中、蘭が寝静まった頃、彼が目を覚ました。
眠そうに目をこする。
むくっと起き上がった彼は、暗闇の中、ソファーで寝ている少女に歩み寄った。
少し茶色がかった髪は、可愛らしいボブにされている。
茶色いのは、きっと地毛だろう。
長いまつ毛、白い肌。
小柄だが、スタイルは決して悪くない。
月に照らされた少女は、とても美しくみえた。
しかし、そんな事、彼には全く関係ない。
「…誰?……俺…誰?……なんでココにいるんだ…」
それだけ呟いた彼は、一瞬苦しそうに頭をかかえ、また布団に入った。