捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─
ヘナヘナと座りこんだあたしの隣に、遠慮がちにハルが寄ってきた。
なんか、シッポを巻いた犬みたい。
「ね、蘭、このアパートってさ、そのぉ…ペットオッケー?」
覗きこむようにしてハルが聞いてくる。
「へ?ペット?…たぶん…オッケーだと…思う…なんで?」
ペットはたしか飼ってる人がいた気がする。
可愛いチワワを飼ってる人。
ハルは、目を伏せながら、遠慮がちに、でもはっきり言った。
「その…あの…ココでさ、俺の事、飼ってくれない?……蘭の、ペットってことで…」
……………
「ほへ?」
間抜けな声が出た。
「飼う?あたしが、ハルを?」
「うん…置いてほしいんだ…ここに…俺、行くとこないし…ペットなら、同棲って事にはならないかなーって…」
訳の分からない言葉を発するハル。
「人を、飼うって事?」
再度確認したあたしに、ハルが満面の笑みで答えた。
「うんっ」
一瞬めまいがしたのは、気のせいだろうか…