ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
シイナが自分をよく話すのは当然だ。
マナに話して聞かせる自分が、いつも彼女が言う傲慢で勝手な男であってはならないのだ。
脚色された自分は、マナの憧れと理想を兼ね備えた男として彼女の中にインプットされている。
そして自分はその通りに振る舞う。
全てはマナのために。
マナだけのために。
「博士は、きっとフジオミのことが好きなのよ。フジオミをとてもよくわかってる」
その言葉に、フジオミは浅く微笑った。
無邪気なマナの考えを、浅はかだとは思えなかった。
仕方のないことだ。猜疑や不信から遠ざけて、シイナは育ててきた。
「さあ、どうかな。よくわかっていることと愛することは、決して同じにはならないんだよ、マナ。彼女は、きっと僕より君のことをずっと好きだよ」
フジオミは立ち上がり、落ちてきた前髪を無造作にかきあげた。
「シイナは、君に自分を重ねているんだ。なれるはずだった自分を、君に見ている。彼女には、君こそが全てだ」
ガラスの向こうの見慣れぬ風景を、フジオミはただ見つめていた。
「――」
遠くまで来た。
シイナのいない、今まで自分の知ろうともしなかった世界へ。
思い起すのは何故か彼女のことだけだ。
自分が死んだと思っただろうか。
そうならば、冷ややかな仮面の下で、きっと自分自身を責めている。
どんな人間よりも、シイナはフジオミにとってあざやかな色を持った、確かな存在に思えた。
その冷酷さも、残酷さも、傲慢さも、彼にとっては全てが深い感慨を呼び起こす。
「――フジ
オミも、博士のこと好きなのね」
呟くマナの言葉を捕らえ、フジオミは我に返った。