ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
ここに来て初めて、マナは一人で食事をした。
それまでは必ず老人とユウと三人で話をしながら食事をしていたのだ。
老人が死んでからは、ユウと二人で。
フジオミは朝食をとらない。
ユウは部屋を出てからどこに行ったのか、戻ってこない。
しばらくマナはユウを待っていたのだが、空腹に堪えきれず、ユウの分を残して一人で食卓へついた。
だが、少し口にしただけで、すぐにやめてしまった。
「一人でする食事って、こんなものだったかしら」
呟いて、マナはそれを片づけ始めた。
いつもと同じように味付けをしたはずだ。
だが、とてもまずく感じられた。
飲み込んでも、まるで石を飲むように喉につかえる。
これでは、食べないほうがましだ。
「――」
マナにはわからなかった。
なぜユウが突然、あんなことを言いだしたのか。
好きだといいながら、自分のものにしたいといいながら、そうするべきではなかったと言った。
(昨日はあんなに優しかったのに、今日は傍にも来ない)
「――」
涙がこぼれた。
やりきれなさとやるせなさが同時に込み上げてくる。
身体がまだ、ユウを憶えている。
肌を這う、あたたかな手。
声をあげずにはいられないほど執拗に触れてきた唇と舌。
身体を貫き、突き上げてきた熱い欲望。
痛みの後に来た、激しいほどの快楽。
あんなにも幸せだったのに、どうして今自分はこんな切ない気持ちで一人、ここにいるのだろう。
そうだ。
目を覚まして、言葉を交わすまで、ユウは穏やかだったのだ。
あの時は混乱してうやむやになったが、子供が欲しいという自分の言葉の何が、ユウをあんなに恐れさせたのか。
「――」