ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 マナは自分が、ユウのことを何も知らないことに気づいた。
 知っているのは三歳までドームにいて、その後、老人達と暮らしていたことだけだ。
 それ以外、本当に何も知らない。
 そもそも、わずか三歳だったユウがシイナに撃たれることになった原因は何だったのか。
 ユウは意図的に隠したがっている。
 その部分に関することだけは。
 そう考えると、今度は違う疑問もわいてくる。
 以前は気にもとめていなかった、あの地下のことだ。
 先日、フジオミはユウが新しいシーツとタオルを持って、地下へと降りていったのを見たと言った。
 そうして、マナに聞いたのだ。

 あそこには、人がいるのではないかと。

 言われて、マナは驚いた。
 食事は自分達の分しか作ってはいない。
 人がいるのだとしたら、一番に食事はどうしているのだ。
 何より地下に誰かがいるなどと、老人もユウもにおわせることさえしなかった。
 それに、なぜ、マナに隠す必要があるのだ。
 マナに会わせては困るわけでもあるのか。
 考えれば考えるほど、わからないことばかりだ。
 以前なら、自分には関係のないことだとすませてしまっていただろう。
 だが、今は違う。
 マナはユウのことが知りたかった。
 脆く、傷つきやすいあの孤独な魂を理解したかった。
 そして、癒してやりたいと思っていた。
 自分は知らなくてはいけない。
 もっと、たくさんのことを。
 強烈な焦燥感にかられ、マナはフジオミの部屋へと急いだ。
 ノックもそこそこにドアを開ける。


< 138 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop