ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「おはよう、マナ。どうしたんだい?」
「ねえ、フジオミ。昔のことを知りたい時は、あなたたちはどうしていたの? ユウがおじいちゃんに聞いていたみたいに、あなたたちも年配の人に聞くの?」
唐突な問いに些か驚きつつも、フジオミは答える。
「いいや。それはドームのメインコンピュータにアクセスして情報を引き出すのさ。でもマナ、一体何を知りたいんだい?」
「ここのことよ。ここが廃墟になる前は、どんな所だったのか、知りたいの」
しばしフジオミはマナを見つめていたが、肩を竦めると、
「いいよ。ここにも端末はあるはずだ。教えてあげよう」
そう言って、マナを階下に促した。
エントランス近くのカウンター奥の小部屋には、コンピュータが一台、備え付けられていた。
これも、ユウが廃墟の貯蔵倉庫から持ち出してきたものの一つだ。
フジオミは電源を入れて、コンピュータを起動させた。
「ずいぶん年代がかっているが、これでも使えるだろう。何せ基本構造はどれも同じだからね」
マナはフジオミがコンピュータの端末を操作するのをじっと見つめていた。
それは思った以上に簡単だった。
ある程度キーをたたいたら、あとは自分の望みを話すだけでいい。
情報はすぐにプリントアウトしてくれる。
今までは気象状況など、あまり重要でない用途に使われていたようで、情報を引き出してもばれることはなかったのだ。
「マナ、情報を引き出すときは気をつけるんだ。重要な情報を覗けば、ここの場所が見つかってしまう恐れがある。まだ、戻りたくはないんだろう?」
「――ええ」
「じゃあ、僕はその辺を散歩でもしてるよ。またわからなくなったら聞きにおいで」
「ありがとう、フジオミ」
フジオミが部屋を出ていったのを見届けてから、マナは端末に向かった。
はやる気持ちを押さえてコンピュータにアクセスする。
ユウに関するデータを。
自分に関するデータを。