ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「――」
マナはきつく目を閉じていた。
だが、不意に目を開け、押し退けるように身体を離し、黙ってユウを見た。
青ざめて、かける言葉を探せずにいるユウを。
「あたしの、子供なのね。あなたは」
「マナ――」
擦れたユウの声。
マナは強ばったような笑いを浮かべていた。
「親子だなんて…あたし、クローンだなんて――子供を産ませるために、再生したのね。そうよね。そうしなきゃ、人間は、滅びてしまうんだもの」
「――」
互いの姿が目の前にあるのに、マナもユウもその姿が見えないかのようだった。
そんな二人を見兼ね、フジオミが近づく。
「マナ。落ち着いて、よく聞くんだ」
「さわらないで!!」
触れようと伸ばしたフジオミの手を、マナは強く払い除けた。
怒りに満ちたまなざしが、フジオミを見据える。
「マナ、話を――」
「あたしが何に対して怒っているか、あなたにはわからないでしょうね、フジオミ。こんなこと何でもないって、そう思ってるんでしょう?」
マナの瞳から、涙がこぼれた。
「あたしたちの責任だから。義務だから。どうしても、人類を存続させなきゃいけないから。
うんざりするくらい言われてたわね。
でも、あたしとあなたが子供をつくって、それからどうなるの? あと五十年もすれば人間はここからいなくなるのよ。今度はあたしたちの子供同士を実験動物みたいにかけあわせようって言うの?
わかってることじゃない、未来なんて何もないってことぐらい。子供なんかつくったってどうしようもないってことぐらい。たかだか半世紀生き残るだけのことが、そんなことが、一体何になるって言うのっ!!」
フジオミには何も言えなかった。
「親子だなんて――親子だなんて!!」
マナは溢れる涙を拭いもせずにその場から走り去った。