ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 ユウがマナを見つけたのは、廃墟から少し離れた草地だった。
 座り込んだまま、動かない少女の傍へ、ゆっくりと近づく。
「マナ――」
 マナはじっと、遠くを見つめていた。振り返りもしなかった。
「こっちへ来て、ユウ」
 ぎこちなく、けれどユウは言われるままに従い、マナの傍へ来て座った。
 マナはそんなユウに両手をのばし、抱きしめた。小さな子供にするように、胸に抱いた。マナの胸の鼓動を、ユウの耳が捕える。
「――あなたがこんなに懐かしいのは、あたしの遺伝子が憶えている記憶なのかしら」
 マナの声は、どこか虚ろに響いた。
「十四歳のあたしは、まだあなたを産んでもいないのに、こんなにあなたを懐かしく思ってる。こんなことって、あるのかしら」
「――」
「ごめんなさい……」
「マナ…?」
「あなたをちゃんと育てられなくて。あたし、あなたを淋しくさせたわ。ごめんなさい、ずっと独りにして」
「マナのせいじゃない……」
「ううん。あたしのオリジナルだった人だもの。あたしと同じ顔の、同じ声の、きっと同じ心の人だったわ。ユカは馬鹿なことをしたわ。本当に、馬鹿なことをしたわ」
 涙が止まらない。
「ユウ。あたし、データを見たの。あたしもあなたも、実験動物と同じなんだわ。あたしはユカ以外に子供を産める女がいないからクローニングされた。あなたは、近親者同士でどの程度の障害が出るか試された。こんなひどいことって、あるかしら」

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