ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 ガラス張りのエントランスの外に、小さくユウの姿が見えた。
「ユウ!?」
「マナ、来るな!!」
 振り返らず、ユウが叫んだ。
 見えない壁がたくさんのレーザーを反射し、遮っていた。
 ついでたくさんの銃声にかき消され、すでに声などとどかない。
 
「マナ、危ない、下がれ!!」

 追いついたフジオミに腕を捕まれ、マナはそれ以上ユウの傍へ行くことはできない。
 攻撃を仕掛ける方も仕掛けられる方も必死だった。
 だが、ユウには攻撃を受けとめるだけで精一杯だった。
 自分に対する攻撃があまりにも集中しすぎて、反撃できないのだ。
 そしてその攻撃は、一向に衰える気配がない。
 マナには、ユウは極度に疲労しているように思えた。
 ユウのあの力は無尽蔵ではない。
 使えばその分身体に負担をかける。
 そして、彼はたくさんの武器を前に、たった一人で戦わねばならないのだ。
 ついに、ユウの身体がぐらりと前に傾ぐ。
 同時に、彼を取り巻いていた見えない力が弱まった。

 一瞬の後、ユウの身体を二本の光の筋が貫いた。

 ユウの膝が落ちた。
「ユウ!!」
「マナ、よせ、出るな!!」
 フジオミの静止も聞かずに、捕まれていた腕を振り払い、マナはユウのもとへ走った。
 見えない壁はまだ完全に消えてはいない。
 時折壁を突き抜けるレーザーを奇跡的にも避けながら、ユウへとかけよる。
 その姿をとらえたのか、レーザーも銃も攻撃をやめた。

「マナ、来るなって…」

 胸を押さえていたユウは、顔をあげてそれだけを言った。
 そして、そのままユウはマナの腕を掴み、廃墟の入り口にいるフジオミのもとへと跳んだ。


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