ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
時間がない。
このままではシイナ達がここへ踏み込んでくるだろう。
ユウは動けない。
シイナがどう行動するかは目に見えている。
こんなふうに、自分達は終わるのか。
まだ何も始まっていない。
まだこれからなのに、こんなふうに終わるのだろうか。
「――いいえ」
毅然とした声。
「違うわ、ユウ。あたしたちは生きるの。二人で、生きるのよ。そしてどこまでも行くのよ。この世界の果てまでも」
「マナ…」
「あたしをおいて死ぬつもりなの? あたしをたった一人、ここに残して?
そんなこと許さない。
生きるのよ。ここでこんなふうに死ぬのは絶対に許さない」
マナは強く、ユウの手を握りしめた。
その指先にくちづける。
「だから、今は戻るわ。死んでは駄目。きっと迎えにきて。あなたが本当にあたしを欲しいのなら。あの日あたしをさらったように、もう一度連れにきて」
「マナ…」
「ユウ、あなたがいないのなら、この世界に意味はないの。あなただけがあたしの生きる意味なの。
だから、待ってる。あなただけを、待ってる」
二人の手が、離れる。
マナは一番低い可能性に賭けた。
今、ユウを死なせないこと。
このままほおっておいたら死ぬかもしれない。
でも、今ここでシイナを止めることもできずに彼の死を確実にするよりは、助かる可能性はある。
自分の言葉なら、シイナは聞いてくれるはずだ。
「行きましょう、フジオミ」