ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「マナ!!」
崩れかけた廃墟から出てくる二人の姿を見て、シイナはヘリを下りてかけよった。
そうして、小さな少女の身体を強く抱きしめた。
「博士――」
対するマナは、複雑な表情で抱擁を受けとめた。
「ああ、よかった。よく無事で」
「彼はもうすぐ死ぬわ。レーザーが心臓を貫いていたの。もう意識もないもの」
乾いた声音に、シイナは鋭い眼差しを向けた。
「マナ、それは本当なの?」
「ええ。ちゃんと確かめたわ。だから逃げてこれたの。博士。今なら逃げられるわ。はやくここから逃げましょう。すぐにドームへ帰るの。もう帰りたい。博士が迎えにきてくれるの、ずっと待ってたの。今すぐあたしを連れて帰って」
「ええ、ええ。すぐに連れて帰るわ。行きましょう。フジオミ、あなたも乗って」
「ああ」
動きかけたフジオミの視線が、ふとマナを捕らえた。
マナもまた、フジオミの視線に気づき、互いの眼差しが揺らいだ。
本当にいいのか――フジオミの瞳が問う。
博士には何も言わないで――マナの瞳が哀願する。
二人は無言のままヘリに乗り込んだが、フジオミはマナほど現状を楽観視していなかった。
あのシイナが、マナの言葉一つで、ユウの死体を確認もせずにこの場を去ることがあるだろうか。
自分は、マナよりもシイナという女を知っている。
彼女は目的のためには手段を選ばない。
そして、失敗に対しては、同じ轍を二度は踏まない。
さらにそれ以前に、フジオミにはユウが助かるとはとても思えなかった。
あの状態で傷が回復するなどとは思えない。
マナは愚かなことをしたのではないか。
彼女だけを求める魂を、たった一人で置き去りにするなど。