ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 以前の自分は、本当にシイナの言うがままのお人形のようだ。
 どうして、疑問にも思わなかったのだろう。
「じゃあ、気分転換は明日から。今日はもう部屋へ戻りなさい。十時には迎えをやるわ」
「はあい。約束よ、博士。ああ、今から楽しみ」
 マナはパッとシイナから離れて部屋へとかけていく。
「マナ、そんなに急ぐと転ぶわ」
 背後からかかる声に振り返ると、マナはにっこり笑って手を振った。
 シイナも笑って手を振り返す。
 その表情からは疑いは微塵も感じられない。
 マナは表情には出さなかったが、それを哀しく思った。
 シイナとは、わかりあえないのだ。
 例えどんなに言葉を重ねても。
 だからこそ、嘘だけを重ねて、自分はここを出ていかなければならないのだ。

 こんなにも大事に思っているのに、こんなにも大事にされているのに、どうして心はこんなにも隔たっているのだろう。

 それはとても哀しいことだと、胸が痛んだ。




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