ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
ゆっくりと、ユウはマナを振り返った。
「マナ、泣くなよ。おじいちゃんは恐くない。優しい人だ。それに俺、あんたを殴ったりとか、そういうことしたりしないよ」
優しくかかる声。
だが、マナは泣きじゃくったまま首を振り続ける。
「いや。いや。帰りたい。博士のところに、フジオミのところに帰りたい」
「マナ…」
自分にのびてきた手を気配で感じ、マナは心底怯え、身を竦ませた。
両手で顔を隠し、少しでもこの恐怖から逃れる術を探した。
だが、震える身体は、やがて何の危害も与えられないことを訝しみ、恐る恐る顔をあげた。
ユウはそこから動かずに、じっとしていた。
目が合うと、振り切るように視線を逸らす。
マナは、自分の反応に傷ついた顔をしたユウに、驚いた。
それは、高ぶっていた感情を落ち着かせるのに、十分だった。
涙が、いつのまにか止まった。
そのまましばらく、マナは少年を凝視し、少年は唇をきつく咬んだまま顔を背けていた。
彼は別に、危害を加える気ではないのだ。
自分一人が恐がっているだけなのだ。
そう理解すると、まだ少し恐怖は残ったが、心には余裕ができた。