ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
出生率と平均寿命の低下。
年老いぬ内に、人々は死を迎える。
結果として、サカキの家系はユウを残して絶えたことになる。
フジオミの家系は正常な彼だけを残して絶えた。
そしてシイナの家系も絶えた。染色体性半陰陽という不妊の彼女を残して。
その家系の血を継ぐ人間がひとりしか存在しないことによって、彼等は彼等の姓を受け継いだ。すでに名前に意味はなく、血筋をたどる証として。
「待ってくれ。君はユカの最後の子供は、ユウだと言ったな?」
「そうよ」
「じゃあ、マナは、彼女は一体何なんだ?
僕はずっと、マナがユカの最後の子供なんだと思っていた。だが、彼女は〈サカキ〉じゃない。ユウにそれを継ぐ資格はないのはわかっている。登録を抹消されたんだからね。だが、マナは正常なはずだ。あの二人は双子ではないのか?」
シイナは首を横に振る。
「マナは今十四よ」
「ユウは」
「十六」
淀みなく答えるシイナに、フジオミの違和感はつのる。
「待ってくれ、年齢が合わない。マナとユウは双子の兄妹でさえありえない。マナはサカキではないのか?」
「いいえ。マナもサカキよ。ただし、ユウがいてもいなくても、マナはサカキの名を継げない。あの子の子供が継げても、マナ自身には、その資格はないのよ」
「――じゃあ一体、マナは何だ?」
「わからないのも無理ないわね。あなたもマナのことは知らなかったもの」
そう、それこそが自分の計画だった。
どんな些細な失敗も許されない、滅びかけた人類を救うべき、長い年月を要する計画。
「マナは――」
恐ろしい告白がフジオミの耳に届いた。