ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~

 現実を見るがいい。

(未来など、何処にある――?)

 彼女を、シイナを、マナを、女達を犠牲にしてまで繋ぐ未来に、何の価値があったというのだろう。
 いきつく先は、すでに決まっていたことだったのに。
 それはすでに、同胞達にも、考えればわかる簡単なことだったのだ。そう。考えさえ、していれば。
 自分達は、どこかで何かを間違った。
 今になってそれに気づく自身の愚かさを、カタオカは自嘲した。
「カタオカ?」
「いや、すまない。考え事を、していてね。もし計画が失敗しても、私は別にもう、どうでもいいのだがね。シイナには聞き入れてもらえなかったが」
「シイナにも、本当はそんなことはどうでもいいんですよ。彼女に必要なのは、自分に何ができるかということです」

 そして、フジオミから逃れること。

 マナがいれば、彼女はフジオミから自由になれる。
 フジオミ自身それに気づいていた。が、別段気にも止めなかった。自分が満たされていれば、相手などマナでもシイナでも変わりないと思えた。
「フジオミ、君は自分の立場をどう認識している? その義務を、どう考えているんだね?」
 カタオカにとって、それは真摯な問いであった。だが、フジオミには愚問だった。
 なりたくてなったわけではなかった。
 ただ生まれたときから、決められていただけだ。
 全てが自分の意志ではどうにもならないことだったから、彼にとっては全てがどうでもいいことだった。その点では、フジオミもまた、マナと同じく『自身』を持たない人形に過ぎなかった。
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