ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
カタオカとは彼等の議長で、現存する二つのドームを統括する、彼らの社会の実質的な指導者でもある。
だが、指導者は存在しても、独裁はなかった。
完全な権利をもつ人間の数が少ないために、直接民主制なのだ。
この社会での決定権を持つものは、クローンではない人間。
彼等は全て議員となり、指導者の下、議会を召集し、決議する。
議会の承認を得なければ、何も事が運ばないようになっている――それは、かつての彼等の世界にあった政策の名残だった。
だが、何事にも特権がある。
フジオミもまた、特権を持つべき人間であった。
「しばらくはここにいる。部屋の用意はさせてあるから不都合はないよ」
「また勝手に話を通したのね! 私に何の断りもなく」
「じゃあ、許可を」
フジオミは言う。
「今、許可をくれ。君が許してくれれば、それですむ」
「――」
その口調は、拒否されることを全く念頭においていないようにも聞こえた。