ETERNAL CHILDREN ~永遠の子供達~
「いや……」
永い凍えた沈黙の後、マナの声がかすれて漏れた。
「いやよ、こんなのいや。おじいちゃん、目を開けてよ。ねえ、起きて。約束したじゃない。もっとたくさん、いろんな話をしてくれるって言ったじゃない!!」
「マナ」
「いやよ、いやあっ!!」
「マナ!!」
ユウがマナを強く抱きしめた。
その瞬間、混乱したマナの中に、自分のものではない、もっと強く、もっと深い哀しみが入り込んできた。
息がつまる、激しく、心の中だけで渦をまく感情の嵐。
こんなに深い哀しみを知らない。
こんな哀しみを、自分は持てない。
これは、ユウのものだ。
「マナ、仕方ないんだよ。おじいちゃんはもう、十分生きたんだ。人間は、いつか死ぬんだ。おじいちゃんにも、その時が来ただけなんだよ」
マナは顔をあげ、そう言うユウを見つめた。
彼は、何処か虚ろにも思えた。
マナはユウの背に手を回し、しっかりと彼を抱きしめた。
「ユウも泣きたいのね。泣いてもいいわ。一緒に、泣きましょう。そうしないと、ユウのほうが、壊れちゃうわ」
「――」
「苦しいの。これから、どうすればいいの。大好きだったのに。ずっと一緒にいたかったのに」
マナは肩に、ユウの熱を感じた。
押しつけるようにマナの肩に額をあて、彼はずっと黙っていた。
それでも、ユウは泣かなかった。
泣けなかった。
深く激しく、その心の内は泣き叫んでいるのがわかるのに、その感情は、決して表には出てこない。
冷たい壁に押さえつけられているように、ユウはただ黙ってマナを抱きしめていた。