初恋-運命の恋人-
「お前は忘れてたみたいだけど、俺は覚えてた」
私は何で気づかなかったんだろう。
カイはきっと私と再会したその日に気づいてくれていたはず。
なのに、私は…―――
「泣くなよ」
「…ごめ、ん…カイ」
泣く私の頬に添えられる手、カイの顔が近づいてくる。
そして私達は何も言わずに唇を重ねた。
「ねぇ、カイ」
教室に戻るため廊下を歩いていた私達。
しかし私がカイを呼び止めた事で2人の足が止まった。
「私、行かない」
「……」
「みんなと、カイと一緒に居たいから…お母さんの所には行かない!」
「そうか…」
フッと微笑むカイ。
「俺は素直に嬉しい」
そしてカイは私の手をしっかり握って教室に向かった。