誘拐犯は…神様だったのです!

花束を君に







―――――…
―――…





そして、また数日が経過し…私がここにきて1ヶ月がたとうとしていたある夜のこと



「…え?人間界にですか?」


「そうなの!久しぶりに人間界に出掛けることになったの」



紫音さんのお母様に誘われ、二人で夕食を食べているときに、お母様はそんなことを口にした



どうやら、お母様は先代の王、つまり紫音さんのお父様と一緒に人間界に行くらしいのだ


「そ、そうなんですか…」


いいな…なんて思いながら紅茶を飲むと、お母様は頬杖をつきながら私を見つめてくる



「えぇ、それでね…人間界には素敵なお城があるって聞いたんだけど、オススメは何処かな~って聞こうと思って」


「お城、ですか?」

「えぇ、あ!あと林檎って食べ物も食べてみたいの」



「あ…あー…」


林檎…ね。どうやら神様の世界には林檎と言う果物は存在しないらしい



< 203 / 616 >

この作品をシェア

pagetop