誘拐犯は…神様だったのです!




「どうした?…そんな顔をして」


「あ、いえ…ただ…紫音様が他人に手当てをさせるなんて…」


「…………」


「いつも、どんな怪我をされても私やトール、そしてツヴァイさんでも…傷を触れさせない貴方が…彼女に…手当てなど…っ」



「…………」


「それは、やはり…彼女は…凜様は"特別"なのですね」


ぐっと唇を噛みしめ、うつ向く風神に紫音は無表情のまま風神をみる



「…あぁ、彼女は私の花嫁なのだから」


「………」

「特別以外の何者でもない」



真っ直ぐ、視線を少しも揺らすことなくいい放つと紫音は部屋のドアを開ける


「それより、風神」


「…はい」

「お前は、凜の従者のはずだ…人間の花嫁が気に入らないのは仕方がないが、毛嫌いをしないで彼女を守ってくれ」


「…………」

「お前も、いつか彼女を特別に思うはずだから」


「なにを…私は、貴方を傷つけた人間など…花嫁など言う立場でなければ…この手で彼女を!」


「…風神」


「……っ」



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