誘拐犯は…神様だったのです!
「トール…お前…それを本気で言ってるのか?」
「あ?本気に決まってるだろ?お前がやられたら俺が大変なんだよ」
「違う」
「は?」
「それじゃない」
「それじゃないって…どうゆう意味だよ」
眉間にシワを寄せるトールにオーディンは軽く唇を触りクスッと笑みをこぼす
「私が言ってるのは、紫音様やあの女は本気でお互いを愛してないってことだ」
「……は?」
「よく見てれば分かる。私の目は誤魔化せない」
「何を言ってるんだよ、だいたい掟で決まってる。王である紫音様が破るはずがないだろう」
"バカなこと言うな"そう言うと、トールは呆れたように歩きだす
そんな背中を見ながら、気持ち悪いほどの笑みを浮かべ木の上を眺める
「直に分かるさ。そして人間の化けの皮をはがしてやる…我が主…紫音様のために…」
そう言った瞬間、オーディンが浮かべた笑顔は一瞬にして消えていった―――……
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