誘拐犯は…神様だったのです!



「…ふう…っ」


ドアがガチャンと閉まる音を確認すると、思いきりため息をはく



「……はぁっ」


ズズゥと再び鼻をかみ、乱暴にゴミ箱に投げると上手いことにゴミ箱の中に入る


あー…なんか、少し身体が熱いかも…


額を自分で触るも、私の手が熱いせいか熱は感じない


気のせいか…


額から手を離し、トールさんが拾ってくれた夜会の用紙を見ようとした時


「……あ」


ふと、棚の上にある花瓶に目がいく


ツヴァイさんから…ううん、グレンさんからもらった花…少し枯れてきてる


毎日水をかえていたけど、最近…変えるの忘れてた


グレンさんが届けてくれたものだから、完璧にダメになるまで飾りたい



水…かえて来ようかな…紫音さんの部屋から水をかえる場所まで近いし



「……」


ズズゥと、また鼻をすすり椅子から立ち上がり花瓶を胸に抱くと花びらが一枚ヒラッと床に落ち


それをなんとも思わず、私は部屋を後にした




< 283 / 616 >

この作品をシェア

pagetop