誘拐犯は…神様だったのです!
「あぁ…風神にトールと共に羽流集(パルシュ)に行くように頼んだんだ」
「…なるほど。やはり市販の薬と言う物はなかなか効かなかったんですね」
「あぁ、それに少し熱もあったみたいだから」
そう言うと、部屋の窓枠に腰をかけ再び資料を眺める
「熱も…ですか?それならあの道は辛いかと」
「知ってる。だけど行けば良くなる。それに夜会も近いし、寝込まれたら困るから」
「…………」
ぶっきらぼうと言うべきか、淡々と話す紫音にツヴァイはクスッと笑い
それに気付いた紫音がツヴァイを見上げる
「なんだ、その笑いかたは」
「いえ、素直じゃないな~と」
「………」
「困るからじゃなく、心配だから…ですよね」
「………」
「親衛隊の皆も言っていましたよ?」
「…何をだ?」
「紫音様は我々には無表情で無口なのに、花嫁には笑顔でよく話すと。よほど凜様を寵愛してると話していました」
その言葉に、クールな顔付きが変わり眉間にシワをよせる
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