誘拐犯は…神様だったのです!




「あぁ…風神にトールと共に羽流集(パルシュ)に行くように頼んだんだ」


「…なるほど。やはり市販の薬と言う物はなかなか効かなかったんですね」


「あぁ、それに少し熱もあったみたいだから」


そう言うと、部屋の窓枠に腰をかけ再び資料を眺める


「熱も…ですか?それならあの道は辛いかと」


「知ってる。だけど行けば良くなる。それに夜会も近いし、寝込まれたら困るから」


「…………」


ぶっきらぼうと言うべきか、淡々と話す紫音にツヴァイはクスッと笑い


それに気付いた紫音がツヴァイを見上げる


「なんだ、その笑いかたは」


「いえ、素直じゃないな~と」

「………」


「困るからじゃなく、心配だから…ですよね」


「………」

「親衛隊の皆も言っていましたよ?」

「…何をだ?」

「紫音様は我々には無表情で無口なのに、花嫁には笑顔でよく話すと。よほど凜様を寵愛してると話していました」



その言葉に、クールな顔付きが変わり眉間にシワをよせる



< 309 / 616 >

この作品をシェア

pagetop