誘拐犯は…神様だったのです!






「…………」


部屋に一人残された紫音はガチャと音を立てドアが閉まると



深い深いため息をはいて、資料から目を離し


そのまま、外のどこか遠くを見つめる




「…………」


何を思っているんだろうか。いつも以上に無表情のまま外を見続けてる




「……凜」


不意にそんな言葉を呟き、細く綺麗な指で窓を撫でる



「私には……わからない」


視線を落とす紫音はやはりどこか悲しそうだ





何かを考え、悔しそうに瞳を閉じ紫音は自身の胸元の服を握りまた何かを考える




何を考えているかはわからない


もしかしたら、何も考えてないのかもしれない













でも、ただ1つだけ言えるのは―…






「…アン…」








彼が考えているのは…


"凜"ではなく"アン"と言う名前の人物だけだ―…








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