誘拐犯は…神様だったのです!
仕事先の店長や仕事仲間。そして友達―…
それに、優しくて格好いいグレンさん…
あぁ…こんなことになるなら、最後に会いたかったな…
もう皆に会えないんだ…そうつい勝手に決めつけてしまう
だって、もう身体の感覚もないに等しい…
これが魂が抜けるってことなのかな…?
「は…はは」
そんな、まさか…あ、だけど…もしかしたらおばあちゃんに会えるかも
大好きな、大好きなおばあちゃんに…それは嬉しいな
「………」
おばあちゃん―…
無意識に力を振り絞り首にあるネックレスを握りしめおばあちゃんの笑顔が浮かぶと同時に―…
「…紫音…さん…」
何故だか、私の頭には紫音さんの姿が浮かぶ
私ってば、何を考えてるんだろう。自分勝手で、変な所で無口で…私のキスも人生も宝物のネックレスまで奪っていく。
それなのに、たまに優しくて…最近はドキッとするくらい優しく笑う。
本当に意味が分からない彼
優しいような、怖いような…不思議な雰囲気を持っていて…人形みたいに綺麗な彼
「紫音さん…っ」
名前なんか呼んでも意味がないってわかっている。彼には聞こえないって、けど
なんだか…紫音さんに会いたい
そう一度考えたら紫音さんに会いたくて、会いたくて仕方がないのに会えない
そんな寂しさに、ポロっと涙が零れると――…
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