誘拐犯は…神様だったのです!
み、見つかってしまった…
ドクン、ドクンと胸がなり身体がブルブルと震えると彼は木の上から飛び降り私の前に座り込む
「…あ」
ダメだ…もう、立てないし…距離をおくことも出来ない
ぼやける視界の中、目の前の彼は私を見下ろすと鳥の鋭い爪のような手を思いきり振り上げる
「どうやら、風神様の行為も無駄だったようだな。あれだけの事をされながらも必死に人間の女をかばったくせに、こうも簡単に見つかっては」
「………ぇ」
あれ、だけのこと?
「あぁ、いくら風神様が強くても我らには勝てまい…」
そう言い、ペロッと血が滴る指を舐めると意味深に嘲笑う
「………っ」
ま、まさか…フウさん…!
サァーと血の気が引いていき、私は彼らを見上げ口を開く
「…フウさんに、何をしたんで、すか?」
「あ?…なにをだと?罰を与えただけさ。人間をかばった罰をな」
「……っ」
「惨めなものだったさ。あれだけの力を持っていながら主の花嫁だと言う理由だけで、自らを犠牲にするなど」
「ぎ…犠牲…?」
「そうさ。犠牲にしたんだよ。アイツはもう虫の息だろう。おかげで我々の服は風神様のせいで汚れてしまった」
「………っ」
確かに、彼らの服にはおびただしい血
そして、古いシミにまじり…新しい赤いシミ…
「ふ…フウさんっ」
そんな、私のせいで…私のせいで…フウさんが…っ
悔しさが私を襲い、溢れる感情を押さえられなく瞳から涙が零れる
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