誘拐犯は…神様だったのです!



「…あ」


ぼやけていた視界が真っ暗に変わり、一気に不安になってくる


な、なんで、こんなこと…


「つ、ツヴァイ…さん」

視界が見えない中、そう名前を呼ぶと…


グイッ――…

「……あっ」



勢いよく手を引かれ、ギュと言う力強い音と共に身体中で感じる温もり


そして、息遣いやフワリと鼻をかすめるいい香り


「……っ」


背中に手が周り優しく頭を撫でられる感覚


この感触は一人しかいない。こんなにも私の胸をドキドキとさせるのは…


「…紫音さん…っ」


「……」


そう、彼だけだ―――……


やばい、どうしよう。凄く嬉しくて…ギュと紫音さんの服を握り返すと近くにいたツヴァイさんが呆れたように口を開く




「し、紫音様!予定と違いますよ!」


「…ぇ?」


「紫音様が凜様を抱き締めてどうするんですか!」


「………?」


背中越しに聞こえるツヴァイさんの声に紫音さんは私を抱き締めたまま小さくつぶやく


「いや、つい…」


「つい?…はぁっ、全く…まぁ、それはいいです。それより、彼らをどうにかしてください」


「………」


ツヴァイさんの台詞に紫音さんは数秒黙り込み、数回私の頭を撫でると紫音さんは睨み付けるように彼らを見る



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