誘拐犯は…神様だったのです!
「いつものお前なら、人間なんて…って思い見捨ててただろう?」
「………」
「なのに、お前は凜様を逃がした。自分の命を犠牲にしてまで」
「…………」
「いったい…何があったんだよ」
問い詰めるトールの言葉にオーディンは何かを思い出しながら自分の頬を触る
「紫音様以上に気難しいお前がそうそう簡単に人間に出し抜かれるとは考えにくい…」
的確な言葉をぶつけられ、オーディンは数秒の沈黙のあと
頬にあった手を離す
「…わからないんだ」
「……あ?」
「私もあの女を助けた理由がわからない」
「………」
「だが、なんとなく…ハヤブサの命を助けたいと願い、必死にあいつらから守ろうとした凜様の姿をみたら身体が動いていた」
「オーディン…」
「シルビアの木は、思いに反応する。あの助かるはずのないハヤブサが助かったのはシルビアの前で必死に助かることを願った凜様の思いが通じたからだ」
「…………」
「トール」
「…………」
「怖い」
ギュとオーディンは布団を強くにぎり、同時に瞳を閉じる
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