誘拐犯は…神様だったのです!
あ、しまった―…
知らない人から見たら、まるで私がトールさんを押し倒し襲ってるようで…
何も言わない私達に、紫音さんは腕を組み壁に寄りかかりながらトールさんを睨む
「トール、私の女と浮気でもする気か?」
「……へ?」
「トールにそんな趣味があったとはな」
「ち、違いますよ!紫音様!ご、誤解です!」
焦ったように言いながら身体を起こし、私から勢いよく離れる
「こ、これは…コイツが…」
「コイツ?」
「あ、い、いえ。失礼しました。凜様が転びそうになったので下敷きになっただけでして…」
「………」
私の横で紫音さんに向かって膝まつき必死に手を動かしながら説明をするトールさん
そして、それを見ていた紫音さんはフッと鼻で笑う
「そうか。それにしては、随分楽しく言い合いをしていたな」
「あ…そ、それは……も、申し訳ありません。ですか、やましい事はなにも」
「当たり前だ。していたら、いくらトールでも許す自信が私にはない」
「は、はい…」
「もういい、庇ってくれたのは助かった」
「いえ、そんな…有り難きお言葉」
「あぁ、それより…夜会の準備があるだろう?凜は私と行くから早く事に移れ」
組んでいた手を離し、紫音さんはそう言い
それを聞いたトールさんは頷き、チラリと私をみて"悪い"と呟くなり急いで部屋を出ていった
・