誘拐犯は…神様だったのです!
「それが、さっきまではいたのですが…先ほど急遽帰られました」
「…帰ってた?…それは…また、いつものか?」
「左様です。扇李は自身の花嫁のことになると全て放棄するクセがなかなか治りません。それでいつも花嫁に怒られていて…微笑ましいですが、我々は大変です」
"はぁっ"と息をはくサイさんは、なんだかとても深刻そうだ
でも、そうか…扇李様がいないんだ…
扇李様の花嫁は人間だと聞いていた。だから会って見たかったのにな…
少し残念な気持ちになると紫音さんはそのクールな表情を崩し息をはく
「そうか…なら仕方がない」
「申し訳ありません、後日、空界にごあいさつに伺います」
「…分かった」
そんな言葉を交わすと、サイさんはまた私を見つめる
「では、私は扇李の代わりにやることがございますので、そろそろ失礼致します」
「あ…は、はい」
「初めての夜会は大変かもしれませんが、無理をなさらずに」
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