誘拐犯は…神様だったのです!




「あぁ、そうか…良かったじゃないか」



「………」


久しぶりに聞くグレンさんの声。優しくて、穏やかで、少し色気のある声


やっぱり、グレンさんだよ…


「うん!僕ね今日初めてあったけど、お姉様のこと大好きになっちゃったぁ」


「そう…良かったな。それより、グレン…どうして僕の言う事を聞かないで何処かに行ってしまったんだ?あれほど注意しただろう?」


「………え?」


「………」


その言葉にグレンくんは、プクゥと頬を膨らませてグレンさんを睨む



あれ?グレンさん…今、僕って言った?グレンさんは自分のことを俺って言っていたのに……



「うっ…だ、だってぇ」


「だってじゃないだろう?母上からグレンのことを頼まれてるんだ、だから僕を心配させるようなことはしないでくれ」


「…う」


少し優しさや怒りを含めた声にグレンくんは、グレンさんの胸を叩き


強引にグレンさんから離れると、私の脚に抱きつきグレンさんから隠れるように右のブルーの瞳で彼をみる



「グレン」


「なんだよっ!お兄様なんか嫌いだ!僕を一人にしたのはお兄様じゃないかぁ!…うっ…グスッ」


目に沢山の涙を浮かべ私のドレスに顔を埋めて泣き出すグレンくん


「…あ…ぐ、グレンくん」


また、泣いちゃったよっ。せっかく泣き止んだのに!


慌ててしゃがみ込みグレンくんの背中を撫でると、そんな私たちに向かって彼が口を開く



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