誘拐犯は…神様だったのです!




「………」

「………」


グレンくんがいなくなったあと、私達の間には沈黙が走り続ける


どうしよう…何か話さなくちゃいけないけれど


この混乱してる中、何から話せばいいか分からなくて…ただ視線をあちこちに泳がせていると



「…その…弟がお世話になった…ね」


「……あ」


会話や音楽が流れる会場にグレンさんの声は鮮明に私の耳に通る


「い、いえ……そんなこと…」


グレンさん、やっぱりグレンさんだ…


私は立ち上がり、チラリとグレンさんを見つめると、少し気まずそうに片手をあげる



「えーと…取り敢えず…久しぶり」


「………あ」


「ずっと、凜のこと…心配だった」


「…グレンさん…」

「グレンじゃない」

「……え?」

「海鈴(かいり)」


「……海鈴?」


海鈴って…聞いたこと…いや、聞いたことがあるじゃない


用紙にも名前があったし、どんな神様かってことを紫音さんから聞いた


そうだよ…確か、海鈴って名前は…



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