誘拐犯は…神様だったのです!




「………」


紫音さんってば、何を言ってるの?

「あ…の」


「私の花嫁を辞めて、海鈴の所に行くつもりか?」

「………え?」

海鈴の所に?確かに、そう言われたけれど


私は…わたし、は……行きたいなんて思ってない

そう言われても、行きたいなんて言葉は私には一回も浮かんでない


「…紫音…さんっ」


てか、どうしたの…?こんな、音さんらしくない質問


紫音さんらしくない言葉


まるで、今の紫音さんってば…



「…ヤキモチ…妬いてる、んですか?」


「…………」


まさかとは思う。有り得ないかもしれないけれど…


紫音さんってば、妬いてるようにしかみえない



私の少し控えめにぶつけた質問に、紫音さんはピタッと身体の動きを止め


その綺麗な瞳で私を数秒見つめると、彼は軽く口元をつりあげる


「…妬いてる、か…私が…」


「………」


あ………



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