誘拐犯は…神様だったのです!
―――――……
―――…
その日の深夜、すっかり部屋が静かになったころ―…
紫音は布団の中でスヤスヤと気持ちいい寝息を立てる凜を触るでもなく
特に何もしないで見つめていると、部屋にノック音が響き
"あぁ"と声と共に扉が開く
「…失礼します…紫音様。風神でございます」
「…」
チラと風神を見ると、紫音は特に口を開くことなく彼を見つめ
風神は、それがいつものことのように扉をしめ近づいて来て
ある一定の距離でピタリと足を止めると、ため息をはく
「お取り込み中でしたか、失礼しました」
「いや…別にいい…」
風神はベッドに眠り凜を見つめ、その視線を紫音に戻す
「ですが…」
「いいんだ、それより…怪我はいいのか?トールは怪我は完治したと言っていた」
「……はい。お騒がせしてしまい、申し訳ありません。任務にも支障を…「気にするな。その分、トールが頑張ってくれた」」
「………」
「それより…凜を守ってくれて助かった。まだお礼を言ってなかったな」
「いえ…紫音様の花嫁ですから」
「へぇ、それだけが理由じゃないだろう?」
「……」
「凜のこと…いや、人間を少しでも好きになってくれたのか?」
そう言い、紫音は凜に向けるような優しさを含んだ瞳で風神を見つめると
風神は顔を反らす
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