誘拐犯は…神様だったのです!




「…それは…」


「それは?」

「………っ」


言葉を発しない風神に紫音さんは凜をチラと見つめ頭を数回撫でると口を開く


「風神、実は夜会に行く前に…凜が私のいないところでトールに言っていたことがある」


「……え?」


「トールが、風神のことを許してほしいと言っていたんだ」


「トールが、ですか?」

「あぁ、風神が凜を1人にしたことや暴言を言ったこととか…」


その言葉に、風神ばハッとその時の事を思いだし息を飲む


「紫音様…そのことは「「謝るな、凜もお前に対して怒りなんかない」」

「……え」


「凜は、風神に色々言われて、1人になったからあのような目にあったが、それは自分の責任だと。風神は助けてくれた、だから怒りなんかないし、早く怪我が治ることを願っていると」


「り…凜様…が、そう、おっしゃったんですか?」

「あぁ、目を覚ましてから毎日のように私やトールに風神は大丈夫かと聞いてばかりいた」


「…………っ」


紫音の台詞に、ギュウと手を握る


「そんな風に…お前のことばかりだった」


「………」


「風神」

「以前のようになれとは言わない。アン様が生きていた頃には戻れない…だが、凜のことを…もう少し…「わかってます」」


「………」


紫音の言葉を遮り、風神は凜をみる


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