誘拐犯は…神様だったのです!




「あげたくない、だと?なら、凜をどうするのだ?」


「奪うよ」


「……………」

「…えっ」


か、海鈴さん!そんな堂々と!


奪う、だなんて…そ、そんな…わ、わたしは…


「…え…と…っ」



何を言えばいいのか、わからなくて海鈴さんをみると


言葉とは裏腹に満面の笑みを浮かべる海鈴さん


ど、どうしよう……


紫音さんもなんか不機嫌そうだし…ツヴァイさんは様子を伺っていて


トールさんははなしの意味が分からないのか、首を傾げている


こ、これは…なんとかしなくちゃ…空気が悪すぎる



「あ…あの…し、紫音さんっ?」



彼の袖を握り、軽く引っ張りながら名前を呼ぶと


紫音さんは無表情のまま私を見下ろす


「…なんだ」


「あ、えっと…そ、そろそろ任務に行かなくていいんですか?」


「…………」



「た、確か紫音さん…今朝、任務で屋敷を留守にするって言っていましたよね?今、任務に行く途中だったのでは?」


と、取り敢えずここは紫音さん達を別の場所にうつさなければ…それが一番いい



「それは…そうだが」


「なら、早く行かなくちゃ。親衛隊の皆さんも待ってますよ?あ、トールさんも今日は紫音さんと任務ですよね?なら、尚更早く行かなくては」


「………」


「…は?なんだそれ…何をそんなに慌てるんだ」


眉間にシワをよせ、私を不思議な顔で私をみる


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