誘拐犯は…神様だったのです!
――――――…
――――…
そして、私と海鈴さんがお茶を楽しむ時同じくしてある場所には1人の男がある扉の前にたたずんでいた
「…………」
堅く、頑丈な鎖を張り巡らされそれに似合う錠(じょう)
触ればとてもつめたい扉に手を添えると男はため息をはく
「……はぁっ」
何を考えているんだろうか、何をしたいのだろうか
何を感じているのか、誰も分からない
それは男から発する随分と消沈した雰囲気がそうさせて…
深いため息のあと、その綺麗な瞳で扉を見つめ
その奥にある何かを見つめる
「…おばあ様……いや、アン様…私は、どうすればいいんでしょうか?」
その問いに、答えはかえって来ない
「最近の私は…何においても私らしくない…嫉妬をしたり、凜を半ば無理矢理抱いてしまっている」
「あ、いや、無理矢理と言うか…私は…凜を特別だと感じています」
手を離し、扉に寄りかかると男はそのまま座り込む
「その思いをあやふやですが、伝え…彼女を抱きました」
「抱けば抱くほど感じたことのない欲望が私を襲い…本当に、最近は私らしくないことばかり」
額に手をあて、瞳を閉じ唇を噛み締める
「人間への憎しみを持たないで、人間を愛すことを望んだアン様、その意思を継ぎたく私は頑張ってきた」
「たとえ、自らを犠牲にしようとも…私は人間に対して憎しみの感情は持たないように決めていたのにも関わらず…」
「ここ数日、私の中で醜い感情が生まれてる」
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