誘拐犯は…神様だったのです!
「凜を抱き、彼女に触り、彼女の笑顔を見るたび、アイツのすべてを手にしたいと思い誰にも渡したくないと思う反面……最近…彼女を疎ましく思う」
そう言い、額から手を離しドアを見上げる
「………アン様」
「あなたがいてくれたら………何かが変わっていたかもしれない」
「…………」
「あなたがいてくれたら………私は彼女と………」
「いや、また私らしくないことを………こうなってしまったら…離れるのが最善なのかもしれない…私が彼女に刃を向ける前に…」
そうため息をはくと、どこからか急ぎ脚で近づく足音が聞こえ、その主は男の姿をみるなりホッと顔が緩む
「紫音様!ここにいらしたのですね!」
「…………」
「はぁっ、探しました!任務からご帰還なさって報告をしに行こうとしたら姿が見えなかったので」
「あぁ、すまない…」
「い、いえ…いらっしゃったので良かったです」
「…………」
「それで、親衛隊からご報告があるので執務室へ移動願いますか」
「あぁ、わかった」
「ありがとうございます。では、のちほど」
そう言い、さっていく親衛隊をみつめ
紫音は立ち上がり歩きだし、不意に脚をとめ扉を振り向き
数秒みつめ、そのまま視線を戻しその場をあとにした
・