誘拐犯は…神様だったのです!





「それは、いつか凜様が自分のもとを離れていかないかです」


「わ、私が?」


「はい、凜様?紫音様と両思いになった時、状況とは色々とあやふやではなかったですか?」


「………」


あやふやって…言われれば、嫉妬され、強引に私に迫った紫音さんにつられて好きと言った


で、でも、その気持ちに嘘はないけれど……そんなの私だって考えていた事だ



……って、まさか…紫音さんも私と同じことを考えていたの?



「身に覚えがありますね?」


「……は、い」


「なら、やはりそれが原因です。だから、離れる前に自分から一線を引いたんです」


「………」


「まぁ、それは数ある理由の中で一つに過ぎないですが…」


「…………」


そ、そんな………


「でも、そんな女の子みたいなこと…」


「確かに、女性のような考えですね。でも紫音様は繊細なんですよ」


「………」


「小さな時から王と言う立場に縛られていたので、沢山のことを我慢してきました」


「…………」


「どんな大きな怪我をしても、それを隠し平然としているような王です」



大きな、怪我……


いつの日か、血だらけで部屋に来た紫音さんの姿を思いだす


あの日、誰かに言うことを極端に拒否していたもんね。やっぱり、あれは慣れていたことだったんだ




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