誘拐犯は…神様だったのです!
ゆっくり語り出す紫音さんは、私の口をふさいでいた手を離し唇を噛み締める
「その人間達は、遭難していたのだろう。酷い顔をして衰弱していた」
「…………っ」
「二人組の男女で、どうしても見捨てることが出来なく、親衛隊に捜索をまかせ私は鳥の姿で近寄り、彼らの服を掴みながら下山を心みた」
「……………」
「………」
「…数時間、天気が悪化する前に人里まで彼らを導かせることは出来たんだ」
「…………」
「だが………っ」
「………あ」
肩を握り、思い出すのか苦しそうに顔を歪める
「それを見ていた人間が…珍しく知能が優れた鳥を捕獲し…金にしようとしたんだろう………っ」
「………」
最後の最後で言葉に詰まる紫音さん
いや、もう…その先なんて聞かなくても分かる…
きっと、紫音さんはそのまま人間の手にかかって…翼を…失ったんだ…
「………っ」
「…紫音…さんっ」
悲しくて、切ない事実に次々に涙が零れると
紫音さんは、私から離れ私に背中をむけてしまう
・