誘拐犯は…神様だったのです!
「………あ」
「あの日、翼を失った日…私は初めて人間を憎んだ」
「…………っ」
「憎んで、手にかけようとした」
「………」
「たが、それでは何も始まらない。人間を恨む神が増えるだけ」
「…………」
「そうならないためにも…私は人間を恨む奴らをまとめてきた…」
「………」
「本当は、誰よりも人間が憎い。嫌いなんだ」
紫音さん………っ
「それなのに、キミは…私の中で大きくなる…憎い感情と大切にしたい感情が…私は苦しい」
「………っ」
頭を抱え、苦しむその背中と翼にギュウと胸が締め付けられる
「だから、凜…私が…憎しみでキミを傷つける前に…私から…離れるがいい…私はもう、君が…キミの存在が怖い。不安で仕方がない」
「…………」
紫音さん……そんなに、自分と戦っていたの?
だから、私を拒否したの?
分からない、その意味がなんとなくわかった。
紫音さんは、そんなに苦しんでいたのに、私は…私は、ただ…自分の感情ばかりで…
「…紫音さんっ…ごめん、なさいっ」
そっと、彼の背中に手をそえ、コトンと額をぶつけると紫音さんの背中が震えてるのが分かる
「…わたし…何も…何も…知らなくて…」
「………っ」
「ごめん…な…さ…」
グイッ――……
「っ……んんっ!」
腕を強く惹かれ、そのまま後頭部を抑えられ唇に柔らかく熱い熱が私を襲う
「…ん」
以前したような、熱い、熱い、口付け。頭がいっぱいいっぱいになるようなキス
紫音、さん……っ
感情の全てをぶつける一方通行なキスに、ただ…
ただ、それを受け入れていると―…
不意に唇を離し、乱れる呼吸が落ち着く前に私の手を掴みそのままドアノブに手をかける
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