誘拐犯は…神様だったのです!
「なにを言って…ふ、ふざけてないで離して下さい」
「…………」
誘拐なんてされたら、皆が心配しちゃう
「って、海鈴さん?聞いてますか?」
黙りこむ彼に聞くと、海鈴さんは平然と首をふる
「んー…聞いてるけど、それは却下」
「きゃ…か…って」
「それより、紫音に気付かれる前にここを出よう」
「は?ちょっ」
か、海鈴さん!なんか今日は物凄く強引!
いつもなら、イヤだと言えば無理強いはしないのに
抵抗して暴れるもの、がっちりと抑えられてしまい少しも動けないでいると海鈴さんは部屋の窓を開け手すりに脚をかける
「………え」
「………」
ま、待って…まさか、いや、そんな…まさか…
「あぁ、目をつぶってたほうがいいよ」
「………」
「じゃないと、失神するかもしれないから」
「………な!?」
"待って"そんな静止の言葉を言う前に海鈴さんは私を抱いたまま勢いよく飛び降り……
フワッとなんとも言えない浮遊感に襲われ
腰が抜けてしまったのは、言うまでもなかった――……
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