誘拐犯は…神様だったのです！

「………え？」


「だって、あんな顔をしてる凜をほっとくなんで出来なかったんだ」


「………」


「凜は私にとって、大切な女の子だから…泣かせた本人から引き離したかった」


「…海鈴さん」


ぎゅうと力強く抱きしめられ、そっと腕に触る



「凜？」

「…はい」

「あんなに泣かされてるのに、それでも紫音が好き？」


「…………」


「僕に…乗り換える気はない？言ったじゃないか…紫音といると君は傷付くって」


言われた。それは夜会で再会した時に言われた言葉


本当に、海鈴さんの言う通りだよ。紫音さんといて、私は胸が痛くて仕方がない


紫音さんの過去や思い、どれもすべて思い


けれども………



「海鈴さん…わたしは…」


「…」

「紫音さんが、好きです」


離れてみて、拒否をされて改めて確信した思い


わたしは、紫音さんが好き、大好きなんだ…



「…そう…か」


「あの、わたし」


「…いいよ」


わたしから手を離し、海鈴さんは立ち上がる


「…………」

「全く、凜は男をみる目がない。あんな無愛想で無表情なやつ、どこがいいんだかな」


「……」


「まぁ、でも…凜が紫音を好きなら仕方がないか」


「…………」



ため息をはくと海鈴さんは近くにある椅子に座る



･